個展における展示空間

会場で展示する際にただ作品を並べるだけではもったいない。会場自体もいかに空間としてプロデュースするのかが大事だと思う。もちろん作品そのものが主体でありそこのクオリティが大前提ではあるのだが、会場の空間構成によって作品の内容をより伝わりやすくすることができる。

照明や目線の誘導など様々な要素はあるが、例えば動線一つとっても順番はもちろん、振り向いたときにどの作品が視界に入りどのように呼応するのかも考え、そうした中でストーリーが浮かび上がるようにしている。そこで仕切りなどで動線に変化を加えたりすることはできるが、やはり壁面やブースそのものに変化があった方がやりやすい。来場者が受動的にただ作品を見せられるのではなく主体的に「観る」という行為になるように、ある部分や角度から覗かないと作品が見えてこないような仕掛けもあると面白い。例えば階段があるのであればその左右に壁があるかないかで全然違う。壁がなければ移動するにしたがって眼下の作品たちをいろいろな角度で眺めることもできる。そのときにはじめて見えてくるような見え方やメッセージ性があれば構造も生きてくる。

天井は高ければ色々と工夫もできるが、高ければ良いというものでもない。間が抜けてしまうこともあるしスポットライトが作品に届きにくくなることもある。そして外からの自然光を入れるのであればそれをいかに利用するか。反射や影も含めて工夫できることはたくさんある。

だから「一つの舞台を観たような気になった」「一冊の本を読み終えたような気分だ」といった感想をいただくのは大変嬉しく思う。


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コラムについて

ホームページのリニューアルに伴い、コラム欄も追加となった。 不定期ではあるが記していきたい。

感性のみに頼る一過性のものではなく
道に立ったうえでの個性でありたい。
埋没せず自分にしか表現できないものを。

そして一つ一つの作品を
等身大の自分が生きた証として
メッセージとともに
生んでいけたらと強く思う。